ミュージカル「あいと地球と競売人」
— 誕生 —
今から26年前に誕生した県民ミュージカル「あいと地球と競売人」。
それは、1994年に島根県の小さな町から生まれました。
この作品は地球環境保護を訴えるマンガ『地球の秘密』を書き残して亡くなった出雲市斐川町出身の小学校6年生、坪田愛華さんの遺志をモチーフにして創られた舞台作品です。
公益財団法人しまね文化振興財団によりほぼ毎年のように県内どこかで大切に上演され続けてきた、全国でも稀有な県民ミュージカルです。
島根県内はもとより東京、愛知(愛・地球博)、富山などの会場で約60公演を数え、約5万人の来場者に共感と感動を与えてきました。
2005年の地球環境保護をテーマとした愛知万博(愛・地球博)では、3,000人の満員の観客より
“文化活動の質の高さ” に万雷の拍手をいただいただけでなく、翌朝の新聞一面で「この万博のテーマに最も相応しい演目であった」と大きく紹介され、この経験をもとに、2007年にはミュージカルの殿堂と呼ばれる 東京・青山劇場でも公演を行い、高円宮妃殿下にもご観劇いただくなど、県内外でも大きな反響を呼んでいる作品でもあるのです。
— STORY —
暗黒の世界に住む妖怪たち。彼らの首領(ドン)は汚れつつある地球を競売人ジョーに高く売るように命じます。しかし、まだきれいな地球はなかなか高くは売れません。首領が歌う呪いの歌を聴きながら、地球を汚しているのは妖怪だけでなく、地球に住む人間たちも同じだと気がついている競売人ジョー。
妖怪たちの企みを知らない子供たちは、無邪気に楽しく毎日を送っています。そんななか、あいちゃんは自然の仕組みや地球の成り立ちを学び、地球環境を守る事の大切さを友達に伝えようとしますが、わかってもらえません。
一方、暗黒の世界の首領。あいちゃんの希望や夢を恐れ、危機感を募らせます。あいちゃんに”地球を汚して売り払う計画”を知られてしまった首領は、あいちゃんの命を奪おうと、死神を向かわせるのです。
— 奇跡の復活 —
多くの評価をいただき“島根の宝”とまで言われた「あいと地球と競売人」は、2013年20周年を機に公演の幕が下ろされました。
「みんなで協力しあって 美しい地球ができればいいです」
2018年、これまで上演に関わってきたスタッフやキャストは、この大切なメッセージを発信し、次世代の子ども達に繋ぎたいという熱い思いで5年ぶりの再演をめざして実行委員会を立ち上げ、念願の自主企画としての復活を叶えました。
総勢200人が創り上げる自主公演の舞台(3日間6公演 約2,700人の動員)は、地球を守りたいという愛華さんの願いやメッセージ、そしてスタッフ・キャストの熱い思いとエネルギーに溢れていました。
「ちいさくても どんなにちいさくても」 「心をあわせ 明日を信じ はじめよう!」
私たちは “小さな町の小さな劇場から世界へ” と、この物語を発信し続けて参ります。
ミュージカル「あいと地球と競売人」の目的
◆社会貢献 -文化芸術活動と社会学習
・出演者を固定しない県民参加型の文化活動として、地方発の文化芸術推進のモデルケースになっています。
・学校環境とは違う場所で真剣に闘う約5か月間の濃密な稽古は、人や社会との関わりを学ぶ絶好の場所です。
◆環境学習 -地球環境保護と環境学習
・環境問題を学び、自ら実践し、公演を通してみんなで考え、自分たちの意思を持って「しまねオリジナルの地球環境保護メッセージ」を伝えていきます。
・30年前に描かれた作品にもかかわらず、カーボンニュートラルや資源保護など、いま世界中で広がるSDGsで掲げられている目標が盛り込まれた『地球の秘密』を、『あいと地球と競売人』の上演を通じ、伝え継いでいきます。
◆人財育成 -心の教育と次世代を担う子供たちへ
・幼稚園児から70歳代の幅広い世代を超えた約200名のコミュニティは、集団の中での「個」や「他」を意識し刺激を受けるようになり、家族との関わり・社会との関わり方が変わっていきます。
・この舞台を機に、プロの道に進み第一線で活躍中の者、勉強中の者が多く輩出されています。
これは島根県の文化水準の高さを示すことにも繋がっています。
— 私たちにできること —
近年の異常気象、地震や洪水による大災害は、私たちに何を警告しているのでしょうか?
【point of no return :もう引き返せない地点】
【tipping point :臨界点】
歯止めが利かなくなる・・・今そこに私たちはいるのです。
私たちはこの作品を通して、人と人とが心をひとつにして美しく平和な地球を未来へ繋げていくことの大切さ。。。
それを今改めて感じています。
~ ほんの少し手を取りあえば きっと地球は救える ~
・『国連地球環境子どもサミット イン しまね』参加作品
・2007年 社会保障審議会児童福祉文化財に推薦
・2013年 島根県文化功労章受章